カラーダイヤモンドは何十億もの炭素原子で構成されていますが、その中に少量の異なる原子が取り込まれると、ダイヤモンドに色の変化が生じます。
「ファンシーダイヤモンド」とも呼ばれる天然のカラーダイヤモンドは、無色透明のダイヤモンドよりもさらに希少で、非常に人気の高いダイヤモンドです。
ここでは、カラーダイヤモンドの生成にまつわる自然の驚くべきプロセスをご紹介します。
カラーダイヤモンドの生成
カラーダイヤモンドは、カラーレスダイヤモンドと同様、地球の奥深くで高温高圧にさらされ、32億年前から9億年前にかけて生成されました。カラーダイヤモンドもまた、大部分が炭素原子で構成されますが、微量の異なる原子が混入したり、結晶構造の欠陥が生じたりすることで、無色からカラーダイヤモンドへと変化が生じます。
様々な色のカラーダイヤモンドが生成される過程は、下記をご覧ください。
知っていましたか?
ファンシーカラーダイヤモンドに分類されるダイヤモンドは、カラーレスダイヤモンド1万個に対して1個の割合でしか産出されません。
イエローダイヤモンド
イエローダイヤモンドの黄色は、結晶中に取り込まれた窒素が原因で生じます。この窒素原子群の配列により、ダイヤモンドはスペクトルの青い端からより多くの光を吸収するため、黄色く見えるのです。
色の濃淡は、ダイヤモンドの結晶構造内に含まれる窒素の量により決まります。色の濃い原石ほど価値は高くなります。
知っていましたか?
天然のファンシーイエローダイヤモンドは、宝石となるのに十分な品質を持つダイヤモンド1万個に対し1個未満の割合でしか産出されません。
ブルーダイヤモンド
ブルーダイヤモンドの青は、ダイヤモンド内部に含まれる化学元素のホウ素に由来します。
ブルーダイヤモンドの生成には微量のホウ素が必要です。ブルーダイヤモンドは非常に希少性が高く、淡いブルーを帯びたブルーダイヤモンドは20万個の天然ダイヤモンドに1個の割合でしか産出されず、濃厚なブルーを帯びたものはさらに数が少なくなります。
グリーンダイヤモンド
グリーンダイヤモンドの色は、ダイヤモンドの地表への旅が終えてから表れます。この緑色は通常、自然界に存在する放射線に由来します。赤と黄色の光を吸収すると、ダイヤモンドは緑の色相を反射します。しかし、これは通常、原石表面の非常に薄い層に限定されるため、ダイヤモンド全体に緑の色相が存在することは非常にまれです。
知っていましたか?
天然のグリーンダイヤモンドは、毎年ごく僅かしか市場に出回りません。
ピンクダイヤモンド
ダイヤモンドの色は大抵科学的に説明することが可能ですが、ピンクダイヤモンドの発色の原因は未だ科学者を困惑させています。有力なのは、地球深部でダイヤモンドが眠っている間、極限の自然圧力に反応した塑性変形が原因ではないかという説です。ピンクはファンシーカラーダイヤモンドの中でも最も希少なカラーの一つです。
ブラウンダイヤモンド
ブラウンダイヤモンドは、カラーダイヤモンドの中で最も多く見られる自然色です。ブラウンダイヤモンドの原因は、ダイヤモンドの格子構造の欠陥または格子内の微量の窒素のいずれかによるものです。ブラウンダイヤモンドはイエローダイヤモンドとともに、通常のダイヤモンドのカラースケールでグレード判定されるカラーダイヤモンドです。
ブラックダイヤモンド
ブラックダイヤモンドと言っても厳密な黒というわけではありません。ブラックダイヤモンドには薄黒いインクルージョンが多く含まれ、わずかな光しか通過させないため、ダイヤモンドを黒く見せるのです。ブラックダイヤモンドによく含まれるインクルージョンには、グラファイト、黄鉄鉱、または赤鉄鉱などがあります。
ブラックダイヤモンド以外のカラーダイヤモンドは透明ですが、ブラックダイヤモンドには多くのインクルージョンが含まれるために通常不透明で、カラーレスダイヤモンドや他のカラーダイヤモンドのようなファイヤーもブリリアンスも放ちません。
知っていましたか?
ブラックダイヤモンドは、様々なカラーダイヤモンドの中でも最も硬いダイヤモンドです。
レッドダイヤモンド
レッドダイヤモンドは最も希少で、価値も最も高いカラーダイヤモンドです。まだ完全には解明されていませんが、レッドダイヤモンドもピンクダイヤモンドと同様、その発色原因は塑性変形だと考えられています。
知っていましたか?
天然のレッドダイヤモンドは、世界中で見ても20から30個程度しかその存在が確認されておらず、そのほとんどが0.5カラット未満という非常に希少なダイヤモンドです。
不完全さが作り出す美しさ
非常に人気が高く、価値の高いカラーダイヤモンドは、自然からの希少な贈り物です。「ライト」、「インテンス」、そして「ビビッド」に至るまで多彩な色合いを見せるカラーダイヤモンドは、人間の想像をはるかに超える神秘のプロセスによって生まれました。美しさを生み出したこれらの原子の不完全さは、まさに自然の奇跡であり、永遠に大切にされることでしょう。